鉄欠乏性貧血

症状

女性に多く見られる貧血であり、月経のある女性は男性に比較すると凡そ二倍の鉄分を一日で消失すると言われています。軽く体を動かしても胸部に息苦しさを感じ、全身倦怠感や耳鳴り、軽度の頭痛、動悸などを訴えることもあります。長期間に渡って鉄不足を生じている場合、舌炎、口角炎、月経過多、嚥下障害なども出現します。

原因

赤血球中には血色素であるヘモグロビンが含まれています。この成分は蛋白質の一つであるグロビンと色素であるヘムに鉄を含んで、それと結合した形で存在しています。これが肺内で酸素と結合し、血流にのって全身に酸素を運搬しています。このため、鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)は、鉄不足が原因となって生じる疾患であり、結果血中のヘモグロビン量が減少し、全身に酸素を十分に補えなくなります。直接的な原因は失血に起因するものが多いとされますが、食事の際において鉄分吸収が十分行えない場合もあります。外傷によって大量出血きたすと当然、貧血を引き起こしますが、微量の出血が持続することでも本疾患を引き起こすことがあります。例えば胃潰瘍などがその代表例で、女性では生理の際の出血も該当します。尚、プラマーヴィソン症候群は嚥下障害や舌炎、低色素性貧血を呈するものを言います。

治療法

鉄剤の服用で通常二ヶ月程度で治癒します。改善傾向は数週間で示されますが、服用を中止すると再び貧血を招く可能性があるため、数ヶ月に渡る服用が推奨されています。また服用時間も空腹時の方が吸収率も高くなるとされます。一度貧血を招くと鉄分の多く含まれる食物を沢山摂取しても治癒することはないと言われています。鉄剤の服用は量が多いだけでなく吸収率も高いため本症を生じた際に適用されます。