非特異性多発性小腸潰瘍症

症状

非特異性多発性小腸潰瘍症(ひとくいせいたはつせいしょうちょうかいようしょう)の初期段階では貧血を示します。時間の経過と共に腹痛や浮腫、動悸、発育障害などを呈するようになります。発症時期は幼若年期とされていて、その継続期間は非常に長くなっています。検査では、軽い炎症反応の他、鉄欠乏性貧血、低蛋白血症、便潜血などが確認されます。また小腸造影検査では、輪状狭窄や腸管壁における硬化像などが見られます。

原因

ハッキリとした原因は解明されていませんが、遺伝や免疫に関与しているのではないかと指摘されています。これは同胞間及び血族結婚に認められるからです。発症年齢は若年層となっており、続発性貧血と共に潜出血を長期間にかけて腸管より認められるもので、更に腹痛や低蛋白血症、発育障害なども併発する多発性小腸潰瘍となります。回腸の末端部分にはあまり見られないもののよく発生する箇所は回腸になります。数は複数個多発する傾向にあり、その形状は浅く不整形で斜めや横に走する潰瘍となっています。強弱の多発性狭窄を形作り、粘膜集中を伴う潰瘍の縁は尖っています。ただ、炎症性ポリープなどは見られません。

治療法

多くの症例では小腸切除を行っており、これは持続性腸管出血に起因します。ただし一定期間を経て便潜血陽性を示すケースが多く、更に術後における再発の可能性は非常に高くなっています。また、高カロリー輸血や鉄剤投与などによる治療方法も行われ、前者では一過性の改善傾向を示すとされます。その他、抗結核薬やステロイド薬などによる治療法の有効性は認められません。診断はX線検査にて実施されます。尚、非特異性多発性小腸潰瘍症は腹部外傷後に起因する小腸潰瘍や単純性小腸潰瘍、腸結核、クローン病などとの識別が必要です。