肛門周囲膿瘍

症状

肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)では激痛が排泄部周囲に発生し、患部は赤く腫れます。また喉の渇きや悪寒と共に高熱で四十度近くに至ることもあります。皮下の比較的浅い箇所にて膿が生じると排泄部周囲の組織に腫れが見られますが、皮下の深部において発生したときは腫れを触診にて確認できないこともあります。尚、本症による痛みは排便や便の固さとはなんら関係のないものであり、従って裂肛及び痔核といった疾患の痛みとは異なるものとなります。

原因

炎症を排泄部に生じることが原因であり、便の固さとは無関係となります。直腸と排泄口の境界に見られる歯状線に陰窩及び小窩と呼ばれる小さなくぼみが存在します。この部分は排泄口に向いて開口しているため、便の蓄積傾向があります。このため、便中に固い物質などが含まれていると、この蓄積部において組織が損傷し、その部分から細菌が入り込みます。感染症を腺にて生じるわけですが、これによって炎症から化膿をきたし、排泄口周囲に膿を発生させます。これが肛門周囲膿瘍或いは直腸周囲膿瘍(ちょくちょうしゅういのうよう)と呼ばれるものです。

治療法

排膿をなるべく早く行います。切開による治療方法がとられますが、膿を除去すると急激に痛みが消失します。また痔ろうが切開後に形成されることもありますが、これに対しても手術による治療法で対処します。