慢性腹膜炎

症状

慢性腹膜炎(まんせいふくまくえん)では進行速度があまり速くないため、初期段階では腹部の張りが示されます。徐々に悪化していきますが、時間の経過と共に熱の上昇が見られたり、下腹部痛、下痢、全身倦怠感などを訴えるようになります。また、満腹の際における腹部の張りとは異なり、腹水貯留からたぷついたような腹の膨らみが示されます。採取した腹水中には結核菌の他、リンパ球、赤血球、上皮細胞、多核白血球などが確認できます。癌性腹膜炎では結核性腹膜炎に比較すると腹水貯留が更に強く現れます。

原因

多くが結核を原因とするものであり、現在結核患者数の減少に伴って慢性腹膜炎の発症率も低下しています。種類では癌性のものと結核性ものなどがあります。元となる病気や感染経路によってはその炎症の範囲も変化します。血液経由や腸間膜リンパ節経由の結核感染では炎症が腹膜全域に及ぶ可能性があります。一方、結核病巣よりそのまま感染したケースでは炎症も限局性になります。尚、癌性腹膜炎のケースでは腹水貯留が非常に強く示され、原発性のものはほとんど存在しないと言われています。多くは癌が内臓である肝臓、胃、卵巣、子宮、腸などに生じて、これが腹膜内に転移します。

治療法

腸内容の移動がスムーズに行われないケースでは手術による治療方法が取られます。腹水を切開手術や穿刺によって排出させる方法があります。普通は、抗結核薬の投与による治療法で改善が見られます。尚、癌性腹膜炎では抗癌薬を腹腔内、或いは全身投与することになります。腹水の排出には穿刺の他、利尿薬が使われることもあります。ただ、根治は難しいと言われています。