カルチノイド症候群

症状

気管支収縮症状、発作性の皮膚紅潮、高度の下痢、心症状などが中心となります。気管支縮小症状や下痢、心症状ではセロトニンの関与が指摘されています。皮膚紅潮は、腫瘍から出てくるヒスタミン及びブラジキニンを起因とするもので、顔面や上半身、頸部などに見られます。また斑状からなる繊維性肥厚が心内膜及び右心弁膜に生じ、三尖弁閉鎖不全或は肺動脈閉鎖不全を招き右心不全を発生させる要因となります。

原因

腸クロム親和性細胞をことの起こりにする腫瘍であり、これが作り出す生理活性物質によって招かれる症候群を言います。多くは消化管などに出現し、次いで肺や気管支系に生じます。日本で発生する消化管のカルチノイド症候群は、胃から順に直腸、虫垂、十二指腸と並んで発症率が高いとされます。このカルチノイドは普通の悪性腫瘍に比較するとその進行スピードも緩慢とされます。

治療法

骨転移巣へは放射線に有効性が認められますが、これ以外は意味がないとされます。そのため、基本的にカルチノイドの治療方法は外科的な腫瘍摘出となります。進行した症例では肝転移層への腫瘍塞栓術を行うと同時に薬物療法も組み合わせて実施されます。この薬物療法は、出現した症状を抑えるための対症療法と抗腫瘍の働きを目的とした抜本的な治療法に分けられます。