肝不全

症状

肝性脳症、黄疸、消化管出血、腹水、肝腎症候群などが出現します。初期段階の劇症肝炎では、全身倦怠感や発熱、悪心、嘔吐、食欲不振などの症状を訴えます。

原因

腎不全をはじめ黄疸や消化管出血、意識障害、腹水などを引き起こす症候群とされるものであり、既に肝臓の機能が失われた状態を肝不全(かんふぜん)と言います。急性肝不全はA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、そして非A型肝炎ウイルス、非B型肝炎ウイルスに起因する劇症肝炎の他、自己免疫性肝炎、薬剤性肝炎、ライ症候群、急性妊娠脂肪肝などが該当します。過去に肝疾患を発症したことのないケースで、最初に症状が示された後、重度の肝機能障害が二ヶ月以内に認められ、これと共に意識障害を随伴させる肝不全を急性肝不全と定義されます。しかし、急性肝炎の内、劇症肝炎に起因するものは僅かになっています。肝性脳症が二ヶ月から半年程度と急性のものに遅れて出現する疾患は遅発性肝不全と呼ばれています。その他、慢性肝不全もありますが、こちらは肝性脳症と同じ意味で用いられることが多くなっています。ただ、肝不全が絶対に慢性化するというわけでもなく、また肝性脳症が認められない肝硬変も存在します。肝硬変に伴って発生する肝細胞癌や肝硬変そのものに起因する慢性肝不全は、治療を行うことによって回復することもあるため、正確には慢性肝不全が必ず慢性的に継続するものではありません。

治療法

血漿交換療法、血液浄化治療、またこれらを併用して治療が行われることもあります。プロスタグランジンE1をはじめ、アンチトロンビンⅢ、メシル酸ガベキサートといった薬物療法は肝細胞壊死などに起因する肝障害の進行を阻む目的で用いられます。また脳浮腫などの合併症にはマンニトールが適用されます。肝臓そのものは強い再生力を有しているため、肝性脳症の時期を越えれば、その強い再生力から回復する可能性が高いと言われています。