ぎこちない動き

多くは通常の子供と同じような運動発達を示し、その遅滞は認められません。とはいえ、歩行時にギクシャクする傾向にあり、時に片方の手と足を同時に前に出して歩いたり、肩や頭の位置が通常とはかけ離れた出し方になっていることがあります。運動の処理の仕方には個人差があり、その不器用さも子供によって異なります。これらは皮膚や目、耳などの器官から取り入れたデータを脳内において適切に処理できてないからではないかとする指摘がなされていますが、明確な原因は分かっていません。

人間には固有知覚と言われるものがあり、筋肉や関節から得られたデータをもとに脳が判断しています。つまり、自分の手足や体がどうなっているのか、視覚を遮ってもイメージできる知覚です。アスペルガー症候群の子供の中にはこの知覚に問題を起こしているケースがあり、その場合ぎこちない動きになることもあるようです。

微細運動は指先の細かな動作のことで、アスペルガー症候群ではこの動作を苦手とするケースが多いようです。例えばご飯を食べる時に箸を適切に利用できないといった具合です。ただ、こういった現象は小さい頃に見られるものであり、年齢に伴って良くなることもあります。

粗大運動は体全体を用いて大きく動作する運動のことで、これもアスペルガー症候群では不得意とします。また強調運動も不得意で、この運動は幾つかのことを時同じくして行う運動のことを言います。