アセトアミノフェン中毒

症状

初期段階では特に症状を示しませんが、二日程度で肝障害を招きます。更に進行すると肝細胞壊死を招き、DICや劇症肝炎を発生させます。また消化器症状や直接的な腎障害から腎不全を招いたり、心筋障害を呈します。その後、回復方向へ向かいます。尚、アセトアミノフェン中毒の致死量は25グラムとされていますが、それ以下でも死に至った症例が存在しています。

原因

感冒薬や解熱鎮痛薬など多くの製品に含まれており、簡単に手に入る傾向にあります。もともとフェナセチン、アミノピリン、アスピリンといったものが解熱鎮痛薬として用いられていた経緯がありますが、いずれも毒性が認められるに至って、総合感冒薬などにアセトアミノフェンが利用されるようになりました。具体的には、腎毒性を示すフェナセチン、発癌性を有するアミノピリン、ライ症候群を引き起こすアスピリンとなります。アセトアミノフェンは、適切な量であれば肝臓にて無毒化されます。これは硫酸抱合やグルクロン酸抱合によるもので、尿と共に体外へ排泄されます。しかし、摂取量が過剰に至ると、代謝がチトクロームP-450を間において行われるため、N-アセチル-P-キノネミンと呼ばれる中間毒生体が作られてしまいます。これによって腎尿細管壊死、肝細胞壊死を招きます。ただし、N-アセチル-P-キノネミンもその量が少ないと、グルタチオン抱合から毒性を取り除いてくれます。

治療法

最初に活性炭が用いられますが、これは早期において有効とされます。またN-アセチルシステインを補う目的でムコフィリンが投与されますが、これはグルタチオン抱合を補助させる意図で行われます。メチレンブルーは、重症化となるメトヘモグロビン血症に対して適用されます。その他、早い時期において血液灌流及び血液透析も行われますが、その有効性はハッキリしていません。