パラコート中毒

症状

急性期では口腔内糜爛、蛋白尿、血尿、頻脈、上部消化管潰瘍、下痢、腹痛、嘔吐などを生じ、重症化したケースでは肺水腫若しくはショックから致命的になります。一方、服毒量が最小と考えられる致死量では、長期間に渡って生存し、最終的に肺線維症を招いて死に至るケースが多いとされます。肺障害を除くと可逆性であり、腎臓及び肝臓における働きはとりあえず回復傾向を示します。

原因

除草剤の一種であり、現在ジクワットとの混合によるものが出回っています。これは毒性が強く、かつて服毒によって自身の生命を脅かすケースなどが多発したためで、従来品より薄められたものが流通するようになりました。ただし、従来から苦味剤や催吐剤、臭気性物質、色素剤といったものが誤飲を防ぐ目的で同製品に入れられています。各臓器に毒性は蓄積されますが、中でも肺への比率が高いとされます。また、その量が少なくても進行性肺線維症によって死に至ります。尚、パラコート中毒による毒性は、細胞の膜脂質を過酸化物に起因して変性させられるために引き起こされると言われています。これによって皮膚や粘膜に刺激を生じ、腐食状態を招くとされます。

治療法

早くから肺水腫及びショックといった症状を示すケースでは、救命は困難とされます。主に毒物の排泄と肺線維症の悪化を防ぐことが治療の目的となります。通常、胃及び腸の洗浄、血液吸着、強制利尿などによる治療方法がとられ、薬物療法では、アザチオプリン、シクロホスファミド、メチルプレドニゾロンを用いたパルス療法などが行われます。しかし、一定量を超えてパラコートが吸入されていれば、救命できないとも言われています。