多発性骨髄腫

症状

発症年齢層は高齢者であり、その進行速度も遅くなります。特に症状を示さないケースもあり、血液検査や尿検査などでたまたま見つかる場合があります。症状が示された場合、初期段階では疲労感や倦怠感、貧血、腰痛、肋骨及び背部痛などを出現させます。進行すると、僅かな外圧によって骨折しやすくなったり、腎機能低下、骨痛、肺炎などを生じやすくなります。血液検査では異常蛋白や血沈亢進などが示され、これをきっかけに診断されることも少なくないとされます。

原因

免疫グロブリンは免疫機能の主軸となる抗体であり、蛋白質から構成されます。この物質は形質細胞から産生されますが、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)では、骨髄においてこの形質細胞が異常に増殖します。ただし、少ないケースではあるものの骨髄以外の個所で腫瘤を形質細胞によって形成されることがあります。

治療法

本疾患は現在の所、根治させる確立した治療方法は存在していません。そのため、痛みを取り除いたり、進行を遅らせることを目的に治療が行われます。主な治療法ではMP療法やVAD療法などが知られています。前者ではプレドニゾロンやメルファランが組み合わせて用いられ、後者ではビンクリスチン、デキサメタゾン、シクロホスファミド、アドリアマイシンが組み合わせて使われます。パミドロン酸は骨痛を予防する意図で利用されます。その他、放射線照射が、骨痛に適用されることもあります。尚、造血幹細胞移植と共に多量の抗癌薬を用いて根治を目的に治療が行われることもあります。またサリドマイドが本疾患の制御に効果があるとの報告例も存在しています。