増殖性天疱瘡

症状

まず小水疱を出現させます。弛緩性でびらんした部分は再上皮化を形成せず、徐々に増えて盛り上がります。表面は乳頭状を呈し、時に小水疱や小膿胞を持ちます。好発箇所は臍窩、眼、鼻、口、腋窩などで、悪臭を放ちます。増殖性天疱瘡(ぞうしょくせいてんぽうそう)は、HallopeauとNeumannという二つのタイプに分類され、前者はやや良性の経過を辿る病態で、最初に膿胞を出現させ増殖して行きます。後者は水疱が初発し、疣贅状増殖局面から尋常性天疱瘡へと変化します。

原因

増殖性病変は表皮の全層において表皮増殖因子が生じ、またトランスフォーミング増殖因子-αが表皮において増えるといったことなどが原因ではないかと示唆されています。また増殖性天疱瘡ではデスモグレイン3への自己抗体が原因ではないかと指摘されています。

治療法

プレドニゾロンなどのステロイド薬やアザチオプリン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、メソトレキセートといった免疫抑制薬が用いられます。また大量免疫グロブリン療法や血漿交換療法の他、亜鉛華軟膏や抗生物質、含嗽液、ステロイド軟膏といったものを用いた局所療法もあります。更に薬の使用履歴や栄養補給、二次感染などに対する注意も重要です。その他、増殖性天疱瘡では尖圭コンジローマや真菌性肉芽腫、扁平コンジローマ、増殖性慢性膿皮症などとの鑑別を要します。