症状
多くの場合、初期段階で口腔粘膜の糜爛や潰瘍が急に出現します。次第に正常な皮膚において多彩な大きさの水疱が現れます。特に、足や殿部、背中といった良く摩擦の起きる個所にて見られますが、体のどこにでも生じます。疼痛があり、水疱は簡単に破壊され痂皮が発生します。更に正常な皮膚上でも擦れることによって水疱が出現します。その他、摂食障害も生じますが、これは口腔から食道に至る粘膜において生じる糜爛に由来します。合併症として重症筋無力症及び胸腺腫を見ることもあり、皮疹の範囲が大きくなると低蛋白血症、電解質異常を示すこともあります。これは体液喪失に由来するもので、二次感染から死に至る症例も見られます。尚、水疱が破壊されないように圧力を加えると、内容液が正常な皮膚の方へ移動するため、水疱は更に肥大します。
原因
デスモグレイン三分子への自己抗体が原因となって尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)を発症します。このデスモグレイン三分子は表皮角化細胞同士を結合しているものです。
治療法
ステロイド薬の全身投与による治療方法がとられます。またシクロホスファミドやメトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリンA、アザチオプリンといった免疫抑制薬などが使われることもあります。更に栄養療法や補液、そして感染を防ぐ目的で抗生物質が用いられることもあります。その他、γグロブリン療法や血漿交換療法などもあり、こちらは難治性に適用されます。