野兎病

症状

数日の潜伏期を経て発症しますが、感染形式によって違いが出てきます。表在性リンパ節腫脹を見ない北米で発症するものは、咳や嘔吐、下痢、胸部不快感、腹痛、呼吸促迫などを生じ、重症の場合が多いとされます。心外膜炎、胸膜炎、髄膜炎、腎不全、肺炎などを合併症として生じます。日本では、熱の上昇や悪寒、倦怠感、頭痛などで生じるリンパ潰瘍型及びリンパ節型が多いとされます。痛みがある小さい潰瘍を侵入門戸に形成しますが、治癒傾向を示し、所属リンパ節において痛みのある腫脹を招きます。

原因

急性熱性感染症であり、これは野兎病菌によるものです。好気性グラム陰性多形性小桿菌であり、人畜共通感染症となります。野兎といった感染動物から病原体に晒されることで野兎病(やとびょう)を発症します。

治療法

βラクタム系には有効性が認められておらず、クロラムフェニコール、マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系に効果があるとされます。潰瘍化を示す化膿リンパ節に対しては切開排膿を行いません。これは治りにくい瘻孔を形成したり、菌血症を招くリスクがあるため禁忌となっています。ただし、SM注入を少ない量で行ったり、穿刺排膿を行ったりするケースはあります。尚、病原菌の同定が確定診断につながりますが、モルモットへの摂取及び細菌同定はリスクがあるとされます。これは強い感染力を有するためで、設備が確立している場合に推奨されています。