症状
熱の上昇と共に耳下腺部の腫脹をもって発病します。二週間から三週間程度の潜伏期をおいて発症し、片側性若しくは両側性に耳下腺部腫脹を招きます。この腫脹には柔軟性があり、疼痛を随伴させます。一週間程度で消失していきますが、熱の上昇は数日で治まります。また髄膜炎や膵炎などを合併します。膵炎の合併はあまり見られませんが、発症すると嘔吐や上腹部痛を生じます。髄膜炎はやや多く合併する傾向にあり、流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)に遅滞して或は同時に発病します。出現した場合、熱の上昇、項部硬直、嘔吐、頭痛などを呈し、検査において髄液を精査する必要性があります。しかし、見通しは良く、経過も短期間とされます。ただし、後遺症として難聴を残存させることがあります。
原因
いわゆるおたふく風邪のことを指していて、原因菌はムンプスウイルスとなります。耳下腺腫脹を生じる疾患であり、発症以前からウイルスは排泄され、腫脹が消えるまで継続します。飛沫によって感染し、ウイルスは気道から入り込んで粘膜下組織にて増えていきます。その後、ウイルス血症を招き、膵臓や生殖器、唾液腺、髄膜などに播種されます。1980年代に多く発生しましたが、MMRワクチンが開発された後、激減しました。しかし、MMRワクチンの使用が停止された以降、増えています。使用停止になった理由は、接種に起因する無菌性髄膜炎を招くリスクが高いためです。
治療法
治療薬は存在していません。そのため、対症療法が中心となります。アスピリンは耳下腺疼痛に適用され、そのほか、温湿布若しくは冷湿布などが用いられます。尚、予防対策では隔離が実施されます。