自己免疫性膵炎

症状

閉塞性黄疸を出現させるケースが多く、これは胆管狭窄に由来します。また糖尿病などを示す例も存在します。特有の症状はありませんが、出現した場合背部痛及び腹痛程度で、その症状も軽いものとなります。急性膵炎様発作は、普通示されません。出現したとしても上記の通りになります。

原因

慢性膵炎と自己免疫の間に因果関係があると推測されており、これを自己免疫性膵炎(じこめんえきせいすいえん)と言います。原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎、シェーグレン症候群は自己免疫性疾患ですが、これらに膵炎が合併することで知られています。もともと特発性慢性膵炎に高ガンマグロブリン血症を随伴させた症例がはじまりで、ここから様々な自己免疫疾患に膵炎が合併することが明確にされてきた経緯があります。標的抗原があると推定されており、胆管及び尿細管、唾液腺、膵臓といったものに共通して存在すると考えられています。これは自己抗体である抗結核抗体や抗ラクトフェリン抗体、抗平滑筋抗体などが自己免疫性膵炎を発症した方の血清に認められるためです。本疾患はほとんど見られない病気ですが、女性より男性に少し多くなっていますが、基本的に大差はないと考えられています。

治療法

本症の見通しは基本的に合併した自己免疫性疾患に左右されます。通常、ステロイドにその有効性が認められており、総胆管狭窄及び膵管狭窄などに適用されます。またステロイドの利用で糖尿病にも改善傾向が示されると言われています。出現する症状は軽度であるため、通常は特別な治療を行いません。また自然治癒した報告例も存在しています。ただし、ステロイドに有効性が認められない総胆管狭窄に対しては手術適応になることもあります。