腹水

症状

ある一定量蓄積すると、腹部の張りや吐き気、体重増加、息切れといった症状を出現させます。

原因

腹膜、心臓、膵臓、腎臓、肝臓疾患、婦人病、栄養障害、腹部癌などが腹水(ふくすい)を引き起こす原因疾患となります。腹腔は腹部に存在する空間であり、腹膜に囲まれています。この腹膜は臓器である肝臓や胃、腸などを表層及び腹壁内部を包んでいるものであり、通常僅かに液体が存在しています。血管及びリンパ管から他の疾患に起因して液体が流出するとこの腹膜に蓄積することになり、これが腹水となります。腹水は二次性の原因によって引き起こされる症状であり、いわば合併症と似たようなものと定義されます。

治療法

抗アルドステロン薬及びループ利尿薬の投与による治療方法がとられます。通常、微量の抗アルドステロン薬投与からはじめて、改善が見られなければループ利尿薬を組み合わせて用いられます。抗アルドステロン薬ではスピロノラクトンやカンレノ酸カリウムといったものがあり、ループ利尿薬ではフロセミドやエタクリン酸、ブメタニドといったものがあります。近年、ループ利尿薬トラセミドが注目されていて、その効果はフロセミドより高いとされています。薬物代謝のシステムも違うものであり、カリウムの消失が少ないとされます。ただし、これらの薬物療法以前に食塩の摂取をコントロールし、安静を遵守することが大切です。その他、腹膜頸静脈シャント、経頸静脈肝内門脈大循環シャント術、腹水穿刺排液、腹水濃縮濾過再静注法などがあります。