グルカゴノーマ症候群

症状

糖尿病やアミノ酸血症、壊死性移動性紅斑である皮膚病変が主症状です。糖尿病の症状はインスリン分泌に影響されるものではなく、グルカゴン作用によって引き起こされると言われており、二次性の糖尿病となります。低アミノ酸血症はほとんどのケースで見られ、他の症状が強く出ていなくても低アミノ酸血症だけは明らかに出現していたとする症例も見られます。壊死性移動性紅斑は顔面、殿部、鼠径部、四肢末端部といった個所に出現します。色素沈着や痂皮(かさぶた)、糜爛、水疱といったものが見られます。その他、血栓塞栓症、赤沈亢進、萎縮性舌炎、精神症状、口唇炎、貧血、体重減少などを示すこともあります。

原因

膵臓のランゲルハンス島の腫瘍から大量のグルカゴンが分泌される病態がグルカゴノーマ症候群(ぐるかごのーましょうこうぐん)と呼ばれるものです。糖尿病の症状や突如として下半身に水疱や紅斑を生じます。これが破れ瘡蓋を形成します。多量にグルカゴンが分泌されると肝臓のグリコーゲンが分解されます。それによってグルコースが血中に送り込まれるため、糖尿病の症状を引き起こします。またアミノ酸から生じる糖もグルカゴンの働きによって高まり、その際、材料として血中アミノ酸が利用されるため、合わせて低アミノ酸血症を引き起こします。更に低アミノ酸血症の関与が指摘されている壊死性移動性紅斑も特徴的な皮膚病変です。

治療法

基本的に腫瘍を摘出する手術が実施されます。しかし現実的には切除できないケースが多くなっています。ただし、本疾患は進行速度も遅く、化学療法や対症療法などでも延命治療が可能となっています。