症状
初期段階では上腹部における違和感程度であり、胆石症様の激痛は多くの場合生じません。慢性胃炎や慢性膵炎に起因する消化不良様の症状を呈しますが、次第にみぞおちから右上腹部にかけて痛みが広がっていきます。また黄疸も出現しますが、消長しながら徐々に悪化していきます。更に黄疸は痛みを伴い、次第に強くなっていきます。ただし膵体尾部に発生した膵癌(すいがん)のケースでは黄疸は出現しません。進行に伴って食欲不振から体重減少をきたし、更に胆嚢の腫れからコブを腹部において触知できるようになります。その他、背中にも痛みを生じます。尚、十二指腸を癌が圧迫すると嘔吐を引き起こします。
原因
アルコールやタバコ、肉食などとの因果関係が指摘されていますが、ハッキリとした原因は解明されていません。胃癌が拡張して膵臓まで及んだものと、膵臓から直接発生する場合があります。発症部位で多いのは膵臓頭部ですが、体尾部にも発生します。
治療法
手術による切除が行われますが、その際、高度な黄疸が見られれば、経皮経肝胆管ドレナージによって症状を改善させてから実施するケースもあります。膵臓の周りには除去できない臓器もあるため、広範囲に渡って切除しなければならない膵臓癌のケースでは完全に癌を切除できないこともあります。この場合、術中の放射線照射などが行われることもあります。また術後の抗癌薬投与も試されます。その他、癌が十二指腸を圧迫するケースではバイパス手術が実施されることもあります。尚、膵癌の見通しは通常不良です。切除不能ケースでは多くが一年以内に死に至ります。