症状
全身倦怠感をはじめ、消化器症状である心窩部痛、嘔吐、時に吐血、悪心、黄疸などを妊娠後期に出現させます。また意識障害を随伴させ、腎不全徴候を伴います。そのため、無尿若しくは乏尿を見ることもあります。更に下腿浮腫、低血糖、高血圧、女不正出血などを示すこともあります。その他、頻度は低いものの掻痒感や熱の上昇が見られることもあります。
原因
脂質代謝、リボフラビン、ミトコンドリアなどの異常、そして女性ホルモンの影響などが示唆されています。多臓器不全を示し、このうち肝不全では黄疸をはじめ、肝性脳症、腹水、そして腎不全、消化管出血、DIC、膵炎、低血糖、溶血などを合併します。急性妊娠性脂肪肝(きゅうせいにんしんせいしぼうかん)は妊娠末期に発症するケースが多く、胆汁うっ滞が見られます。しかし炎症細胞浸潤、肝細胞壊死はほぼ見られません。その他、細かい脂肪滴が肝細胞内、特に中心静脈の周りにおいて蓄積を見ます。
治療法
全身管理を実施し、胎児の摘出を帝王切開により期を見て実行します。本疾患は腎臓や肝臓、上部消化器など多臓器に障害を発生させるため、各部門の医師との疎通も重要となります。腎不全や肝不全に対しては血液透析、血漿交換療法などで対処します。母体、胎児共に死に至るケースがあり、見通しは非常に悪い疾患です。そのため、なるべく早くに治療を実施することが重要となります。