α1アンチトリプシン欠損症

症状

新生児肝炎として誕生してから四ヶ月以内に発症します。その際、胆汁うっ滞性或は肝細胞性の黄疸を随伴させますが、時間の経過に伴って黄疸は弱まります。その後、肝硬変が小児期から成人に至るまでに発生し、腹水及び門脈圧亢進症を招きます。成人では肺気腫を引き起こし、呼吸困難を示すようになります。

原因

α1アンチトリプシンは糖タンパクのことであり、本症はこれが欠如することによって肝臓及び肺疾患を招く病態を言います。欠損自体は遺伝に由来し、小児と成人では肝硬変を生じます。またこの欠損から若年性肺気腫をなども見られます。α1アンチトリプシンは酵素の一種であり、肝臓で生成されています。これが血中に移動し、定められた細胞へ届けられ、体液内へと移動していきます。プロテアーゼは蛋白質分解に関わる酵素ですが、α1アンチトリプシンはこの酵素の働きを阻害します。α1アンチトリプシン欠損症を発症するとプロテアーゼの抑制は効かず、結果として肝臓及び肺などの組織を障害します。更に肝臓においてα1アンチトリプシンが蓄積されるため、肝細胞を破壊します。

治療法

小児、成人共に肝硬変が見られれば肝移植を実施します。これによってα1アンチトリプシンは適正に分泌され、再び発症することはありません。成人では上記に加えて肺疾患の治療が主軸となります。尚、補充療法によってα1アンチトリプシンを補う治療方法も試みられています。