症状
一般に併発した疾患、つまり肝硬変などの症状を出現させます。肝細胞癌(かんさいぼうがん)独特の症状はほとんど見られません。しかし悪化に伴って肝腫大、それに伴う上腹部痛若しくは疼痛、或は右季肋部における疼痛を示します。その他、腹水に伴う腹部膨満感、黄疸、浮腫といったものも呈します。また極端に腫瘍が肥大化すると、腫瘤を触れたり、肝腫大、圧痛が出現します。その他、血管雑音も聴診にて確認できます。尚、下大静脈において腫瘍の圧力が加わると、下肢において浮腫を生じたり、副血行路が形成されることもあります。
原因
B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどが原因であり、これらが長期間持続感染することに由来します。また自己免疫性肝炎やアルコール性肝硬変症、アルファ1アンチトリプシン欠損症、ヘモクロマトーシス、バッドキアリ症候群、原発性胆汁性肝硬変などを伴うケースがあります。肝細胞癌は、上皮性悪性腫瘍のことを指していて、肝細胞に類似した細胞から構成されています。日本では多くの症例で肝硬変を伴っています。
治療法
化学療法をはじめ、切除術、経皮的ラジオ波照射熱凝固療法、経皮的エタノール注入療法、放射線療法などが考えられます。本疾患において適用される治療方法は個々の病態に対応したものであり、これはそれぞれの治療法に優れた点と劣った点があるためです。一般に腫瘍の数や、その直径、肝臓の障害の程度、腫瘍の進行性などが思案されて決定されます。