バッドキアリ症候群

症状

急性型及び慢性型に分類されており、前者では上腹部における強い痛み、腹水、肝腫大などが初発症状となります。次いで急性肝不全を招く可能性が高く、見通しも悪くなります。一方、後者では閉塞の程度や、その発生個所によって症状が異なるものの、門脈圧亢進症と持続性うっ血肝障害を示します。また合併症として肝細胞癌を引き起こすこともあります。一般には食道静脈瘤、下肢静脈瘤、下腿潰瘍、下腿浮腫、貧血、脾腫、胸腹壁における上行性皮下静脈怒張などを見ます。

原因

肝静脈の主幹である大静脈において一部若しくは完全閉塞を血栓によって引き起こされる疾患となります。先天性に起因する膜様突起からその閉塞を生じると言われていましたが、後天的に出現するとも指摘されいます。炎症、外傷性狭窄、骨髄増殖性疾患に起因する凝固能亢進、腫瘍、妊娠を防ぐ薬の利用などが二次性の原因としてあげられます。肝静脈の他、肝部下大静脈にも血行障害から肝うっ血が見られますが、欧米では肝部下静脈膜様閉塞の症例は少ないとされます。その他、肝臓の門脈血流循環は、肝静脈、門脈系、下大静脈から構成されています。尚、バッドキアリ症候群(ばっどきありしょうこうぐん)では多くが原因不明とされており、あまり見ることのない病気です。

治療法

完全に治癒させるためには閉塞部の拡張をカテーテルで行うか、血管形成術、若しくは閉塞部穿孔術などが必要です。また急性型では血栓溶解療法などが考えられます。更に元となる病気の治療を実施します。慢性型は主に対症療法であり、合併症の治療に視点が置かれます。