ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群

症状

口の周りや鼻の入り口部、眼の周囲などで水疱や発赤を初期段階で出現させます。また、食欲不振や不機嫌、熱の上昇など、軽い全身症状を随伴させます。特有の顔貌を現しますが、これは痂皮形成や眼脂、口の周りに生じるしわ裂に起因します。次第に紅斑が腋窩や鼠径部、頸部に現れ、更に熱傷様の糜爛や剥離を全身の皮膚において生じます。通常、粘膜は障害されませんが、摩擦によって正常な表皮に剥離が見られ、痛みを伴います。その他、髪が見られる部分ではあまり剥離を示しません。尚、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(ぶどうきゅうきんせいねっしょうようひふしょうこうぐん)は免疫機能低下によって更に重症化して肺炎や敗血症を招きやすくなっています。これには新生児なども含まれます。

原因

表皮剥脱性毒素が原因であり、これは黄色ブドウ球菌によって生成されます。感染経路は臍や外耳、鼻咽頭、結膜などで、黄色ブドウ球菌はここで増殖します。表皮上層において浅い水疱及び棘融解を出現させますが、これはデスモグレイン1であるデスモソーム構成蛋白を切断することに由来します。またデスモグレイン1の切断は、表皮剥脱性毒素が血行性に全身の皮膚へ移動することに由来します。

治療法

全身管理を要するため、入院措置となります。ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は黄色ブドウ球菌を病原菌とするため、これに効果が認められる抗生物質が投与されます。またワセリン軟膏や抗生物質含有軟膏なども外用として用いられますが、これは局所において適用されます。その他、局所の消毒や輸液なども行われます。