ダリエー病

症状

主に角化性丘疹で帽針頭大程度の定型疹が見られます。ダリエー病では暗褐色角化性丘疹が幾つも発生し、集簇かつ硬化角性痂皮に包まれ、それ以外では微妙に陥没を示します。湿潤が多くの場合で認められ、時に融合し、発汗傾向を示す間擦部である鼠径、乳房下、腋窩、陰股部、胸骨部、腹、頚に好発します。つまり脂漏部若しくは摩擦部が好発箇所で、体幹をはじめ、顔などにも生じます。またこういった場所では丘疹融合をきたし、乳頭状からコンジローマ様増殖を呈し、しばしば水疱をも発生させます。酷いケースでは湿潤から悪臭を引き起こすこともあり、夏に発汗から悪化する傾向にあります。更にダリエー病は慢性経過をきたし、手背足背に疣贅状肢端角化症を合わせて発症することもあります。定型疹は多くのケースで自覚症状を認めず、足や手の裏側では小さく陥没した点状の丘疹を示すこともあります。また扁平疣贅状の丘疹が、手や足趾背部において見られることもあります。その他、粘膜症状を口腔や食道、外陰といった箇所に引き起こしたりもします。尚、単純疱疹を併せて発症させてしまうこともあり、細菌やウイルス感染の場合、慎重を要します。更に少ないケースで性格変化や精神発達遅滞などを招くこともあります。

原因

ダリエー病は常染色体優性遺伝性の疾患であることから家族内発生率が高くなっていますが、突然変異でも起こりえます。また酵素である小胞体カルシウムATPアーゼを生成する遺伝子の変異がダリエー病の原因と考えられています。乳児期から青年期に見られる病気で、やや男子に多く見られます。主な症状は角化性丘疹であることから、毛包性角化症とも呼ばれています。多くは擦れる部分や脂漏部に生じます。

治療法

一般にダリエー病では、レチノイドの服用やサリチル酸ワセリンの塗布による治療法がとられます。清潔乾燥を努め、高温多湿を避ける生活指導のほか、レーザー剥離術が施されたり、尿素軟膏、シクロスポリン、エトレチナートなどが用いられます。またダリエー病を発症した際には抗ウイルス薬や抗生剤を用います。これはカポジ水痘様発疹症などを併せて引き起こしやすいためで、こういったウイルス感染や細菌感染症を防ぐ意図があります。その他、家族性良性慢性天疱瘡、脂漏性湿疹、黒色表皮腫との鑑別診断を要します。