周期性四肢麻痺

症状

周期性四肢麻痺(しゅうきせいししまひ)では、いつも正常であった人が、急激に手足において高度の脱力を生じ、起きれなくなります。数日間程度継続します。本症は低カリウム血性、高カリウム血性、正カリウム血性でそれぞれ出現する病状が若干異なります。低カリウム血性は、過剰な炭水化物の摂取や疲労、寒さなどに起因しており、遺伝性のものは第一染色体に異常が認められます。血中カリウム濃度が顕著に低下しています。また朝目覚めた時や夜間において発生しやすくなっています。正カリウム血性では寒さや運動直後の急激な休息などが引き金になるケースが多いと言われています。麻痺の程度は強い一方、発症率は低くなっています。高カリウム血性では日中において発作を引き起こしやすく、低カリウム血性に比較すると軽症であり、発作の継続時間も短いものとなります。

原因

カリウムが異常に多く排出されてしまうことやバランスが血液及び筋肉においてとれていないことが周期性四肢麻痺の原因となります。そして合併した甲状腺機能亢進症に起因するものがあります。原発性及び続発性の二つに分類され、脱力発作の際、更に高カリウム血性、低カリウム血性、正カリウム血性に分けられます。

治療法

低カリウム血性では発作時にK製剤の経口投与が行われます。また低炭水化物及び低ナトリウム食を心掛けます。高カリウム血性では発作時にインスリン皮下注射、ブドウ糖経口摂取などが適用されます。また寒さや過剰な運動、空腹を控え、高炭水化物食を心掛けます。正カリウム血性では食塩水の注射による治療方法が発作時に適用されます。

補足

分類

周期性四肢麻痺は家族性と二次性に分類されます。多くは甲状腺機能亢進症に続発する二次性のもので、時に原発性アルドステロン症、まれにバーター(Bartter)症候群などに続いて生じる二次性のケースがあります。また二次性ではその多くが低カリウム性となります。家族性の場合、低カリウム性で運動後や低カリウム血症、寒冷、過食などが誘引となり、高カリウム性では運動後、寒冷のほか、カリウム摂取や空腹などが誘引となります。

検査と診断

誘発テストは通常実施されません。これはハイリスクであるためです。再燃する弛緩性四肢麻痺と血清カリウム値が判断基準となります。遺伝子検査は家族性の可能性が推測される場合に患者の同意を得て行います。また家族性高カリウム血性のケースではある程度のカリウム上昇が発作時に見られますが、そうでないケースも認められます。このため、慎重を要します。

よく使われる薬

低カリウム血性PP:ソルデム3A、グルコサンK。高カリウム血性PP:ソルデム3A。PPとはperiodic paralysisの略称で、周期性麻痺を意味します。低カリウム血性PP発作時は経口でカリウム製剤を投与するか緩徐に点滴静脈注射を実施します。抗アルドステロンはアルドステロン症を併せて引き起こしたケースで使用し、ベータ遮断薬や抗甲状腺薬は甲状腺機能亢進症を認めるケースで用います。高カリウム血性PP発作時はそれが高度で且つ血清カリウム高値を示しているケースでカルシウム製剤が投与されます。また麻痺もしくは発作が軽ければ経過観察となります。