ファブリー病

症状

ファブリー病(ふぁぶりーびょう)では点状の皮疹といった皮膚症状を七歳から十六歳頃にかけて発症します。また心肥大も出現し、腎機能も徐々に衰退していきます。更に尿毒症から三十歳を超えて中年期前後で死に至ります。その他、神経症状を示さず、心筋症や腎不全などで発症するケースも見られます。診断はα-ガラクトシダーゼA活性の測定により行われます。

原因

心臓や腎臓、眼といった器官に代謝が行われなかった糖脂質が神経節及びリンパ節に蓄積することで生じます。これは糖脂質の代謝障害が原因しており、根本的には遺伝性疾患になります。男性に多く見られる病気であり、酵素であるガラクトシダーゼAの欠如に起因します。小児期で且つ早い時期において皮膚および神経症状を示しますが、これは血管内腔が狭窄することに由来しており、糖脂質が血管壁に溜まることで肥厚した血管壁を形成することに起因します。本症では血尿及び蛋白尿に限定されて示されるケースが多いため、ここで適切な処置が施されないと透析に移行することもあります。ファブリ病は細胞ライソゾームに見られるアルファガラクトシダーゼの活性低下を原因とするスフィンゴ糖脂質の先天的脂質代謝異常症です。スフィンゴ糖脂質が体全域の臓器へ対して進行性に蓄積して、これによって多臓器障害を引き起こします。

治療法

ファブリー病では遺伝子治療が行われ、その際ガラクトシダーゼAが使われます。カルバマゼピンやジフェニルヒダントインなどは痛風発作に適用され、腎移植では欠損酸素の補助或いは腎不全に起因する高窒素血症の改善を意図に適用されます。尚、高窒素血症において良くなる傾向が認められますが、腎臓を除く他の臓器においては糖脂質代謝障害の改善は見られません。

補足

検査と診断

アルファガラクトシダーゼ活性低値やスフィンゴ糖脂質高値の評価を行います。前者はファブリー病での欠損酵素であり、後者は基質です。またアルファガラクトシダーゼの遺伝子異常同定も診断に役立ちます。心内膜心筋生検に関してはヘマトキシリン-エオジン染色で間質線維化および心筋細胞空洞化が観察でき、電子顕微鏡で年輪状のライソゾームや層状物を見ます。

よく使われる薬

ファブラザイム、リプレガルなど。酵素補充療法がファブリー病を根治させる治療法のひとつであり、特に心病変では早期の治療開始が予後を左右します。この場合、心筋線維化が起こる前に実施することが重要であり、これによって心肥大や心機能の改善が見られる可能性があるとされます。