もやもや病/ウィリス動脈輪閉鎖症

症状

意識障害や手足の麻痺、痙攣などを生じますが、一過性の虚血状態となります。血管が狭窄することに起因しており、過呼吸後に生じます。また永久的な麻痺状態を引き起こすこともあり、これは脳内出血及び脳梗塞といった疾患を本症によって惹起するためです。出現した病状が高度であり、且つ発作の再発が原因となります。尚、もやもや病はウィリス動脈輪閉鎖症(うぃりすどうみゃくりんへいさしょう)とも言います。

原因

家族性或いは遺伝子異常が原因ではないかと考えられています。血流の悪化からそれを改善しようとして代用の細い血管がたくさん形成されるわけですが、細い血管だけに脆弱で、そのため閉塞を引き起こしたり損傷を受けやすくなっています。ウィリス動脈輪は脳の下部において内頸動脈と椎骨動脈と繋がっていますが、もやもや病はこのウィリス動脈輪の周りにある血管が次第に閉塞していく疾患です。尚、内頸動脈は首の前部から入ってきており、後部から入ってくるのが椎骨動脈となります。

治療法

脳梗塞や脳出血、一過性脳虚血発作などと同様であり、急性期における治療方法は脳内における血流改善薬やアスピリン製剤といった薬物療法が採用されます。外科的な手術は主に発作を防ぐ意図で採用されていますが、効果の認められる方法は現段階において明確になっていません。脳硬膜血管筋肉癒合術、脳筋肉癒合術、脳硬膜血管癒合術、STA-MCA吻合術などが知られていますが、いずれもその予防に対して有効であるかどうかはハッキリ分かっていません。

補足

分類

もやもや病の病期は六期に分類され、これは脳血管撮影によって行われます。当該疾患は日本人によって見つけられたもので、もやもやと見える新生血管が名称の由来です。第一期は狭小期であり、内頚動脈終末部の狭窄が見られます。第二期は初発期であり、脳主幹動脈拡張像を示します。第三期は増勢期であり、前・中大脳動脈脱落が認められます。第四期は細微期であり、各もやもや血管が細く網状を形成します。また当該血管が篩骨洞部(しこつどうぶ)において発達が見られます。第五期は縮小期で、範囲が局所的になります。第六期は消失期に入り、頭蓋内内頚動脈系はほぼ造影されません。当該血管も消失し、椎骨および外頚動脈系において脳内血管は灌流されます。

検査と診断

もやもや病ではMRA(磁気共鳴血管造影法)、MRI、CT、脳血管撮影などの検査によって確定診断が行われます。発症から数日の大半でCTにおいて皮質および皮質下低吸収域ならびに大脳基底核の周りに点状造影の増強が見られます。MRIでは無信号域としてもやもや血管断面が大脳基底核の近くに見られます。虚血型は感覚および言語障害、上下肢麻痺といったTIAで生じるケースが多いとされます。一方、出血型は一般的な脳出血と似たような神経徴候を示します。

よく使われる薬

虚血型では外科治療と共にバイアスピリンやアスピリン末といった抗血小板薬を用いることもありますが、もやもや病ではエビデンス不足とされています。幼少児になればなるほど悪化の速度は著しく、多発性脳梗塞によって更に酷くなるケースもあるようです。このため、外科治療実施の機会をきちんと判断しなければなりません。多くの場合、適切なタイミングであれば、虚血発作の改善が見られるようです。出血型は高確率の再出血があるとされ、病状も高度になるケースが多いようです。適切な予防法はないようですが、虚血型と同様のバイパス手術にその再出血率を低下させる余地があるようです。