坐骨神経痛

症状

坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)では腰より大腿後部にかけて走行する痛みを生じ、その度合いも強いものとなります。またかかとにまで痛みが走行することもあり、強い灼熱痛を生じます。ラセーグ徴候は診断の際の基準になるもので、仰向け状態で脚を伸ばし、持ち上げた際に激痛が下肢背部に生じるものを指します。検査ではこれらのほかに腰椎におけるCT検査、MRI、X線などによって行われます。本疾患の原因の多くは腰椎椎間板ヘルニア及び変形性腰椎症となります。

原因

リウマチ性脊椎炎である骨盤内腫瘍、代謝性障害である痛風及び糖尿病、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、そして砒素や鉛、アルコール中毒といった末梢神経障害を引き起こすものが原因と考えられています。特発性に起因する原因のハッキリ分からないものも存在しますが、多くは基礎疾患から引き起こされます。尚、本症では椎間板内の髄核の突出により、圧迫が坐骨神経において生じるケースほとんどとなります。

治療法

椎間板ヘルニアを原因とするケースでは仰向け状態で下肢を牽引する治療方法が行われます。状態が高度なケースでは手術によって圧迫している髄核を取り除くこともあります。糖尿病に起因するものは、その治療を行います。変形性脊髄症を原因とする場合は、コルセットなどの器具を装着します。薬物療法では非ステロイド性の抗炎症薬の投与による治療法が行われます。

補足

保存療法の急性期では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬を用い、それでも高度な痛みが継続するケースでは硬膜外ブロックを視野に入れます。慢性期に移行すれば理学療法を始めます。これには腰椎牽引、電気、温熱療法といった物理療法、そして運動療法があります。運動療法では身体の柔軟性の改善を目的とし、とりあえず軽度の自動運動からはじめます。

よく使われる薬

坐骨神経痛の急性期においてはロキソニン、ムコスタ、ミオナール、ボルタレンサポなど。慢性期においてはリリカカプセルやセレコックスなど。これらはいわゆる保存療法です。

手術療法

これは日常の生活をする上で支障を来たしている患者が対象となります。近年、術後痛が少ないとされる低侵襲手術が広く行われています。