ハンチントン病

症状

ハンチントン病(はんちんとんびょう)の初期段階では異常とされる動作を自身が自然の動作として解釈しているため自覚はありません。精神面においても特に顕著に示すものはありません。病状が示されるケースでは痙攣及びれん縮といったものが稀に見られます。時間の経過に伴って弾く感じで手足を動作させたり、繰り返し瞬きをしたりします。筋肉にも異常きたし動作も遅延し出します。進行すると体全域にわたって悪化し、歩行はもとより会話をしたり食べたりする動作も行えなくなります。精神面では興奮しやすくなり、苛立ってきます。衝動の抑制がうまく行えなくなり、機嫌を損ねたりしやすくなります。更に時間が経過していくと記憶を消失し、論理的な判断ができなくなり重いうつ状態を招きます。最終的には痴呆を出現させ、死に至ります。

原因

ハンチントン病は遺伝性疾患であり、多くは自身でも気づかない内に発症します。親から子への遺伝率は高く優性遺伝となります。本症は男性でも女性でも見られる疾患であり、発症率に大差はありません。また進行に伴って不随意性の動作と精神異常を示します。

治療法

降圧薬や鎮静薬、抗精神病薬などの投与による治療方法が採用されます。ただし、最終的には死に至るため、現段階で根治させる治療法は存在していません。尚、診断は遺伝子検査が確実とされています。初期段階における出現した病状だけでは診断が困難とされています。

補足

分類

ハンチントン(Huntington)病はtriplet repeat病の一種であり、常染色体優性疾患です。

検査と診断

MRIやCTでは大脳皮質および尾状核萎縮が進行例で認められます。また側脳室拡大も見られます。これは線条体細胞脱落もしくは変性を反映するためで、淡蒼球内節の活動低下から、結果として運動への抑制が効かなくなり、舞踏様運動(不要な動作)が見られるようになります。有棘赤血球舞踏病や歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症といった似たような病状を示すほかの病気との鑑別、また遺伝子診断によってハンチントン病の確定診断が行われます。

よく使われる薬

運動に関してはシンメトレル、セレネース(製品例)。重度の不随意運動が見られれば定型抗精神病薬を用い、舞踏病様不随意運動に関してはアマンタジン(成分名)を投与します。パーキンソニズムへはドパミンアゴニスト、L-DOPA製剤、アマンタジンなどを使います。精神状態に関してはジェイゾロフト、ジプレキサ(製品例)。バルプロ酸、イミプラミン、パロキセチン、アミトリプチリン、ミルタザピン、セルトラリン(成分名)など。