金属水銀中毒

症状

急性中毒は高濃度の金属水銀に短時間晒されることによって生じます。主に障害されるのは肺であり、腐食性気管支炎や急性間質性肺炎、金属熱、細気管支炎などが出現します。その他、アレルギー性の接触性皮膚炎を見ることもあります。慢性中毒は低濃度の金属水銀に長期間晒されることによって発生します。運動失調や振戦など神経症状や口腔症状、食欲不振や四肢冷感、疲労感、体重減少といった全身症状も見られます。精神症状では、鬱、せん妄、不眠といったものが出現し、これらは水銀過敏症とも言われます。

原因

経口摂取での中毒リスクは低くなっていますが、これは消化管から吸収されにくいためです。また皮膚からも吸収されますが、その量はハッキリわかっていません。通常、吸入によって肺胞から八割程度が生体内に入ります。金属水銀の状態で一部そのまま存在しますが、脳や腎臓、肝臓へと溜まっていきます。そして酸化が赤血球に起因して生じ、二価の水銀イオンとなり、アルブミンと結合するに至ります。尚、水銀計器の製造過程や、水銀鉱山、アマルガム、電池、苛性ソーダといった金銀水銀を使う作業場で金属水銀中毒(きんぞくすいぎんちゅうどく)を引き起こしますが、誤飲などによるものも見られます。

治療法

アトキンソン徴候は原因物質から離脱しても継続しますが、通常、金属水銀から離れることで、見通しも良くなります。ただし、運動失調や情動障害、振戦などが引き続き見られるケースもあります。