症状
様々な症状を呈しますが、通常、潜伏期を数時間おいて現れ、長引きます。皮膚にそのまま触れると、水泡や腫脹を生じます。また、錯乱や興奮、眩暈など中枢神経症状を呈します。更に、喘息様発作や咳など上気道症状も見られます。重症化すると、痙攣やチアノーゼ、肺水腫、昏睡などを引き起こし致命的となります。尚、報告されている症例では、ミオクローヌスや不整脈、振戦、知覚障害若しくは運動障害といったものが存在しています。
原因
土壌や倉庫などにおいて殺菌用、殺虫用として使われる燻蒸剤であり、常温では気体で存在します。このため、耐圧缶入りの製品が出回っています。臭化メチル中毒(しゅうかめちるちゅうどく)を引き起こす原因は、局所性の腐食作用及びSH酵素阻害によるものとなります。肺より即座に吸収される物質であり、しかも自覚なく吸入してしまうリスクが存在します。これは臭化メチルに匂いがほとんど認められないためです。また、透過性も高く、皮やゴムなども通過します。このため、簡単に皮膚から吸収されてしまう傾向にあります。
治療法
効果の確証は認められていないものの、メチオニン、N-アセチルシステインの投与、BAL療法、過換気由来アルカリ化などによる治療方法があります。皮膚症状では、水や石鹸を用いて接触個所を洗浄します。また、その個所にN-アセチルシステインが塗られます。肺水腫では循環機能を保持する必要があり、多量の輸液が行われます。敗血症に類似したショック症状を現しますが、昇圧薬は用いられません。その他、カテコールアミン類も使用されませんが、これは心筋への影響も強く、不整脈或は頻脈を生じやすいことに由来します。