無機水銀中毒

症状

下血や腹痛、嘔吐などを生じます。数日後には急性尿細管壊死から急性腎不全をきたします。これは血中においてグルタチオンと結合した無機水銀が腎臓で濾過され、近位尿細管細胞内に溜まってしまうためで、結果として、近位尿細管、中でも直部において障害を招きます。

原因

写真関係や消毒剤、殺菌剤製造などの職業につく人に見られる中毒ですが、誤飲などでも無機水銀中毒(むきすいぎんちゅうどく)を生じます。経口によって塩化第二水銀などを摂取してしまうために生じるもので、腸管からは十パーセント以下で無機水銀を吸収してしまいます。この物質は血液中において主にアルブミンと結合しますが、グルタチオンとも一部結合します。このため、近位尿細管細胞内に溜まると言われています。腎臓でろ過された無機水銀は尿や便として排泄されますが、一部、汗や唾液、毛髪などにも見られます。

治療法

摂取された無機水銀の量によって異なります。重症化したケースでは急性腎不全を招いて死に至ることもあります。また消化管出血由来のものも同様となります。尚、診断では血液中や尿中に存在する水銀量の増加や無機水銀へ晒された履歴、近位尿細管障害由来の尿中低分子蛋白量の増加、急性心不全由来の血中尿素窒素及び血清クレアチニン増加、そして乏尿から無尿などの程度が見られます。