鉛中毒

症状

初期段階で、頭痛や全身倦怠感、便秘などの症状を呈します。進行すると、脳症や伸筋麻痺、貧血、腹部における疝痛などを生じます。いずれも血液中においての鉛濃度或は量によって影響を受けます。また、脳症ではせん妄や昏睡、痙攣などが主症状となります。

原因

硝子やプラスチック、蓄電池、ペンキなどを扱う職業、造船、解体業、合金鋳造、鉛鉱石溶解、鉛再生などの作業を行う際、金属鉛或は鉛化合物を吸い込むことで鉛中毒(なまりちゅうどく)を生じます。広くは有機鉛と無機鉛中毒に分類されますが、狭くは無機鉛中毒を指します。通常の環境下では消化器による吸収が中心となりますが、職業由来では吸入によるものがほとんどです。

治療法

痙攣に対しては抗痙攣薬であるフェノバールといったものが投与されます。脳浮腫に対してはマンニトールの他、プレドニゾロンが用いられます。デキストロースは尿量減少に対して非経口投与されます。基本的には晒されるリスクからの離脱が重要となります。また顕著な症状が示されるケースでは、CaNa2EDTAが用いられます。これで改善が見られないと、経口投与でD-ペニシラミンが合わせて投与され、更にBALも用いられることがあります。尚、肋間神経麻痺は非常に見通しが悪く、大抵、死に至ります。次いで鉛脳症が続き、本中毒の場合、後遺症なども多く見られます。一方、貧血や鉛疝痛は早くに軽快します。