熱射病

症状

健全な若い人では、脱水と共に発汗を生じますが、小児や老齢者においては脱水が生じ、発汗はほとんど認められません。皮膚は紅潮し、発赤が認められ、頭痛や痙攣、失神、昏睡といったものを生じます。また知覚異常が手足に見られます。

原因

体温調節中枢に異常をきたし、高熱を生じ、臓器障害を招きます。これは体温が四十度以上と高くなるため、体温調節能によって発汗などがうまく機能しなくなることに起因します。熱射病(ねっしゃびょう)は、周りの温度が長期に渡って高温を持続した場合、或は老人や病人、小児において多く見られ、若い年代では運動の際に招きやすい傾向にあります。肝臓、腎臓、筋肉、循環器系、中枢神経系など様々な程度に障害され、その範囲も広くなり、多臓器不全を呈します。尚、他の意識障害を招く疾患や痙攣を引き起こすものとの識別を要します。また熱痙攣や熱疲労とは別のものとなります。

治療法

ヘパリン療法はDICが認められるケースに適用されます。グリセオールなどは水分の補給と共に、眼底浮腫に対して適用されます。肝臓及び腎不全に関しては対症療法が中心となります。ハプトグロビンはヘモグロビン尿が認められる場合に投与されます。クロルプロマジンは冷却に起因する高度の震えに適用され、ジアゼパムは痙攣に用いられます。尚、心肺蘇生術は呼吸や脈を認めないケースにおいて即座に行います。意識を認めない場合、昏睡体位としますが、これは吐物の誤嚥を防ぐ意図があります。また脈が弱まって顔面蒼白が見られるケースでは下肢挙上を行います。その他、乳酸加リンゲル液、若しくは生理食塩水とブドウ糖を混ぜたものが投与されます。