溺水

症状

まず肺の障害をきたし、低酸素血症を招きます。これが継続することで体温は下がり、中枢神経障害を引き起こします。日本では不慮の事故死の内、凡そ一割程度が溺水によるものとなっています。体の全域が水に浸かると体温は著しく下がります。このことが心筋へ刺激を及ぼして不整脈を招き、病態形成に影響を与えます。尚、血漿量増加及び溶血に起因する高カリウム血症を招くには淡水において肺へ移動した液体が血管内に移動するためとされていました。一方、海水では血漿の肺胞浸出が高浸透圧に起因して生じるものとされていましたが、あまり大差ないとされます。検査は、直腸温、電解質、生化学、血液ガス、心電図、胸部X線、血算などとなります。

原因

救助若しくは蘇生によって生命の兆しが認められるものを溺水(できすい)と言います。一方、溺れることによって死に至った場合を溺死と言います。乾性溺水と湿性溺水に分類され、前者は気道閉塞が喉頭痙攣などに起因するものであり、後者は液体を吸い込むことによって生じるものを言います。

治療法

三十二度の体温に復温するに至るまで、低体温を随伴する溺水において積極的に蘇生を実施します。意識障害を認める症例では気道における清浄化と持続陽圧由来の肺内酸素化を改善させることが原則となります。また、人工呼吸管理を要し、気管内挿管をします。尚、溺水との関係が生じる、被虐児、痙攣、脊髄損傷、アルコール、脳血管障害、睡眠薬などにも注意を要します。