症状
重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)の初期段階では疲労感や複視、瞼が下がるといった症状を示します。また食事をする際にも支障をきたして噛めない、飲み込めないといった症状や、鼻声、或いは声を発することができないといった症状も見られます。更に悪化すると舌の筋肉などが弱まり、延いては呼吸困難や呼吸筋麻痺を引き起こすこともあります。本症では胸中央胸骨下部の胸腺において肥大或いは腫瘍が出現します。ここで生成された抗体は神経接合部を攻撃することになります。尚、本疾患は感染や疲労、出産或いは妊娠などによって病態が悪化することも指摘されています。
原因
自己免疫によって筋肉側へアセチルコリンがつく受容体が障害されることが原因となります。指令は脳から末梢神経へ伝導されますが、その際、アセチルコリンが神経末端から放出され、これが筋肉へと伝導します。つまり自己免疫によって筋肉側へつくアセチルコリンの場所が障害されてしまうことに本症は起因します。男性より女性に多く見られますが、中年以降では男性の方にも見られる。また障害される筋肉は手足以外でも多いとされます。
治療法
胸腺に起因する免疫病と考えられているため、胸腺を除去する治療方法がとられます。また、副腎皮質ステロイドの長期投与や抗コリンエステラーゼなどが用いられます。近年、薬物療法によって通常の生活を送れるようになっていますが、悪性の胸腺腫以外では内視鏡による治療法がとられることもあります。