症状
ボツリヌス中毒(ぼつりぬすちゅうどく)の初期段階では嚥下障害、複視、構音障害、眼瞼下垂といった神経症状を示し、悪化すると呼吸及び四肢筋において麻痺症状を招き、延いては心停止に及びます。急性増悪を示す重症の筋無力症などでも本症と同様に急速進行するため、その識別が必要となります。
原因
ボツリヌス菌は酸素を嫌う傾向がありますが、この性質から嫌気性細菌と言います。食物はビンや袋詰めにされて密閉されているものもありますが、このボツリヌス菌は真空パック中の方が繁殖しやすくなっています。そのためこの細菌の分布域も川底や土中、動物の腸管などとなっています。芽胞を構築するため過酷な条件下においても生存が可能であり、乾燥及び熱に対して強い耐久性を有します。芽胞になると凡そ百度でも生存できるケースが見られます。ボツリヌス中毒は、この細菌の毒素によって引き起こされる神経麻痺のことを指していて、呼吸困難から死に至るケースが多いとされます。具体的にはアセチルコリン放出阻害が原因となります。
治療法
抗毒素血清注射による治療方法が採用されます。またレスピレータ管理は呼吸筋麻痺を示したケースにおいて必要とされます。適正な治療法を実施することで数週間程度で改善傾向が示されるようになります。ただし、回復が完全に達するまで数ヶ月に渡って治療が必要となります。