症状
免疫細胞性アミロイドーシスでは、運動障害、感覚障害と共に温度感覚に異常が認められ疼痛を示します。また自律神経障害も併発することがあります。更に透析アミロイドーシスや手根管症候群を併発します。本疾患は沈着に起因して傷害される個所によってその病状も違ってきます。
原因
各臓器における組織間質にアミロイド物質が沈着することが原因であり、様々な臓器の異常を生じます。分布域は限局性或いは全身性であり、アミロイド物質は蛋白質のひとつで不溶性の線維構造を有します。沈着は、腎臓、膀胱、肺、心臓、消化器、甲状腺、精巣、気管、眼といった場所において生じます。また脳アミロイドーシスに関してアミロイド沈着を脳内に生じますが、全身性においては脈絡膜、軟膜、くも膜に沈着し、脊髄及び脳内には認められません。末梢神経においては神経内鞘結合部、神経内鞘の血管或いは神経周膜、神経外膜において強くアミロイド沈着を示します。
治療法
アミロイドーシスの分類によってその治療方法も異なってきます。特に全身性アミロイドーシスでは見通しが悪くなっています。本症は全身性アミロイドーシスに免疫細胞性、反応性AA、家族性、透析、老人性TTRがあります。限局性アミロイドーシスでは脳、内分泌性、皮膚、限局性結節性に大別されています。このうち反応性AAアミロイドーシスでは元となる病気の治療に専念し、DMSO投与による治療方法が採用されます。FAPは家族性アミロイドーシスに属しますが、こちらは確立した治療法はありません。ただし、発病の早い段階での肝移植が有効とされています。
補足
解説
アミロイド(amyloid)は異常な病的状況下において血管を含む組織で沈着を示す線維状蛋白の総称です。アミロイドーシス(amyloidosis)とは当該蛋白質の沈着から臓器に関する機能障害を招いた病態を言います。当該線維状蛋白沈着が特定臓器に見られる場合、限局性アミロイドーシスといい、当該線維状蛋白沈着が全身多臓器に示す場合、全身性アミロイドーシスと言います。前者では脳アミロイドーシスがあり、後者では透析アミロイドーシスや家族性アミロイドポリニューロパチーといったものが知られています。この内、脳アミロイドーシスにおいてはアルツハイマー病(Alzheimer)や脳アミロイドアンギオパチー(CAA)、プリオン病などが存在します。
皮質下出血と脳アミロイドアンギオパチー
皮質下出血(ひしつかしゅっけつ)は脳出血のうちおよそ一割程度の頻度で発生し、出血場所によって多様な病状を示します。また非高血圧性のものが大半を占め、別の箇所で発生する出血とは違う傾向にあります。この病気は高齢者だと脳アミロイドアンギオパチー、若年層では脳動静脈奇形を原因とするケースが多くなっています。脳アミロイドアンギオパチーは血管壁が脆くなる病気であり、脳表の小及び中動脈において上記の病的な線維状異常蛋白(アミロイド)が沈着します。これが重度をきたすと皮質下出血を招き、血管が破綻します。加齢とともに発生頻度が上昇し、高い確率でアルツハイマー型認知症と合併します。やや短い間隔で出血を何度も招く特徴が見られることから、非高血圧性の皮質下出血に加えて認知症が見られるケースでは、脳アミロイドアンギオパチーを視野に入れます。尚、皮質下出血は脳葉出血とも言います。