大動脈瘤

症状

大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)の初期段階ではあまり症状を示すことはありません。ただし、発生すると破裂に至るまで大きくなっていくため、注意が必要です。中でも胸部大動脈瘤はかなり拡張するまでこれといった症状を示しません。また周囲の臓器を動脈瘤が圧力をかけると、呼吸困難や嚥下障害、胸部圧迫感などを感じることもあります。腎臓に圧力がかかれば腎不全を引き起こします。脊椎に圧力がかかれば下肢放散痛、腰痛、腹痛などの症状を示します。腹部大動脈瘤においてもその発見は困難とされており、検診などの際にたまたま発見される場合が多いと言われます。

原因

外傷や感染症が原因となることもありますが、近年では動脈硬化、それも粥状硬化に起因するものが多いと言われています。大動脈瘤の発生箇所は胸部及び腹部となっており、中でも腹部大動脈瘤を発症する60歳前後の患者が多くなっています。また胸部では上行大動脈瘤、下行大動脈瘤、弓部大動脈瘤と発生場所によってその呼び名も変わります。

治療法

悪化を薬によって抑えることはできず、この手の疾患は手術適応となります。通常、血管置換術によって人工血管と置換するため動脈瘤を切除します。また、バイパスによって血流保持するため、動脈瘤の両端を縫合する手術が行われることもあります。いずれも破裂を引き起こす前に実施されます。ただし、この病気は高齢者に多いため、合併症を引き起こすケースも見られ、手術には慎重を要します。薬物療法ではβ遮断薬が用いられます。尚、近年ではステントグラフト内挿術によって折り畳んだ人工血管を使う方法がなされており、この治療は脚の付け根を数センチ切開するだけでほとんど傷を残しません。カテーテルに入れたステントグラフト(人工血管)が動脈瘤に達したところで広げて血流を改善させます。