症状
ウイルス、結核、真菌、原虫などの感染が発生します。また敗血症や細菌性肺炎を見ますが、これらは特異抗体生成がヘルパーT細胞の働きが落ちるに随伴して低下するために引き起こされます。またテタニーと呼ばれる低カルシウム血症を見ますが、これは副甲状腺低形成に由来します。その他、小顎症や耳介低位、肉眼角間開離といった特異顔貌や血管奇形なども見られます。尚、胸腺無形成症(きょうせんむけいせいしょう)は、特異顔貌やテタニー、心血管奇形から発見されるケースが多いと言われています。
原因
第Ⅲ及び第Ⅳ鰓嚢に起因する胸腺そして副甲状腺発生障害、更に心大血管系の奇形を見る疾患であり、これらは第二十二番染色体における部分欠損に由来します。T細胞の分化は胸腺機能低下から異常をきたし、結果として細胞性免疫能も落とすことになります。家系内に生じるケースもありますが、一般に散発の症例が多くなっています。
治療法
胎児胸腺移植は免疫不全に適用されます。胸腺ホルモンを使うことによって一過性のT細胞機能の改善が見られることもあります。また血管奇形に対して手術が実施されます。通常、先に心不全及び低カルシウム血症への治療が行われます。尚、本疾患の見通しは心血管奇形の程度によって影響を受けるため、高度であれば誕生後早くに死に至ります。免疫系に関しては胸腺移植によって改善されます。