症状
三十度以上の体温を有する場合、意識は良好ですが、その一方で寒さに起因する精神的及び肉体的なダメージは大きくなります。また酸素の消費量は極端に増加し、全身至る振戦、細動脈収縮などが見られますが、これはカテコールアミンが多量に分泌されることに由来します。いわゆる寒冷反応と呼ばれているものが、上記の状態であり、極端に疲労を生じます。体温が三十度以下になると心室細動や心室性不整脈を惹起しやすくなりますが、これもカテコールアミンの分泌に由来します。また意識が喪失し、死に至ることもあります。
原因
寒冷に晒されることによって、三十五度以下の体温となり、これによって偶発性低体温(ぐうはつせいていたいおん)が引き起こされます。これには薬物やアルコールなどの摂取後において寒冷に晒される場合や、冬山の遭難などがあげられます。
治療法
ドブタミンやドパミンといったものによって血圧の保持が行われます。しかし、低体温下での低血圧や徐脈に対しては効果が低いため、使用量を増加させます。寒冷反応に対してはフェンタニールやモルヒネなどが用いられます。筋弛緩薬は振戦に有効とされるものの内面性に起因する寒冷反応を抑えることは不能とされます。また吸入麻酔薬にも効果が認められていますが、麻酔薬への予備力が不足します。これは生体の循環器系が既に疲労しているためです。その他、輸液管理や復温なども行われます。尚、重曹水やノルアドレナリン、塩化カルシウムといったものは心蘇生に適用されます。しかし、体温低下が許容範囲を超えた上で心停止したケースでは心蘇生は難しくなります。そのため、復温と共に人工呼吸が実施され、その際心マッサージも合わせて行われます。この場合、非開胸心マッサージは体が激しく揺れるため、復温は困難とされます。