β-リポ蛋白

脂質は水に溶解しないため、そのままでは体内を流れるには不便です。ところが、蛋白質と結びついた脂質は水に溶けてしまいます。脂質であるコレステロールやリン脂質、遊離脂肪酸、中性脂肪は体内を流れさせるためにリポ蛋白と結びついて、血液内に移動します。三つに分類されるリポ蛋白には、HDLと略されるα-リポ蛋白、LDLと略されるβ-リポ蛋白、VLDLと略されるプレβ-リポ蛋白があります。通常、LDLとVLDLを併せてβ-リポ蛋白検査と言います。α-リポ蛋白とβ-リポ蛋白はいずれもコレステロール、中性脂肪、リン脂質の三種類と結びつきます。しかし、より多くの脂質を有するのはαよりβとなるため、後者の蛋白を調べることで、血液内に含まれる脂質の動きを確認することができます。尚、脂質と結びつく蛋白質は定まっていて、遊離脂肪酸はアルブミンを中心に結びつきます。

基準値は測定法によって異なります。女性の方が男性より少し低くなっていますが、更年期を経過すると上昇します。一方、男性は加齢と共に上昇しますが、60歳を過ぎた頃から今度は減少していきます。また、食物の摂取によっても数値が上昇するため、検査をする際は、空腹時である早朝に採血します。

β-リポ蛋白の量は遺伝することがあり、高い場合を家族性高β-リポ蛋白血症、低い場合を家族性低β-リポ蛋白血症と呼んでいます。また、少ないケースで先天性無β-リポ蛋白血症も認められます。一般に当該検査の数値が低いと持続した栄養不良や重篤な肝障害、癌などが疑われます。高い場合はネフローゼ症候群や動脈硬化症、肥満症、糖尿病などが疑われます。