人間の体には必要な成分であり、各種ホルモンや胆汁酸と言われる消化酵素を生成するのにコレステロールは欠かせません。また、血管の強度を高めたり、それを保つのにも必要な成分です。このため、生命維持に必要な成分でもありますが、これが過剰になると動脈硬化などを引き起こします。コレステロールはエステル型と遊離型に分類され、これをまとめて総コレステロールと言います。エステル型は脂肪酸と結合したものを指していて、これらが分離した状態のものを遊離型としています。総コレステロール(T-Cho)の検査は動脈硬化の兆しを発見したり、悪化の程度を確認するのに有用です。動脈硬化を引き起こす因子としてはタバコや加齢、高血圧症、通風、高脂血症、糖尿病などがあります。高脂血症は中性脂肪及びコレステロール値の高い状態を持続させてしまうもので、放っておくと心筋梗塞や狭心症などを引き起こします。
基準値は凡そ135から220mg/dlですが、さまざまな環境が変動要因になります。例えば飲酒や喫煙する人ではこの値は低くなる傾向にあります。反対に妊娠最中では高くなる傾向にあります。また、女性の方が男性より少し高めです。他にもストレスや食生活などの条件によって影響を受けます。このため、微妙なずれは特に問題になることはありません。ただ、この数値も通常で240mg/dl以上、閉経後の女性で260mg/dl以上示す場合は、体のどこかに異常が発生していると予測されるため、治療対象となります。
異常と判定された場合、高値でネフローゼ症候群や高コレステロール血症、甲状腺機能低下症、糖尿病、動脈硬化などが疑われます。低値では甲状腺機能亢進症や肝硬変、慢性肝炎、酸素欠損由来の原発性低コレステロール血症などが考えられます。高値の場合、食生活の改善が必要であり、低コレステロール食を心がけます。特にエビやバター、卵黄などはコレステロールを上昇させるため、なるべく海藻類や植物油、青背魚などコレステロールを低下させる食品を摂取するようにします。これによって数値が適正範囲に落ち着かない場合は薬が用いられます。また太っている人はダイエットをする必要性があります。一方低値では肝検査と共に家族病歴を確認します。