抗凝固剤を血液に混ぜたものをガラス管に入れて、垂直に立てます。すると重力から赤血球が沈んでいきますので、その沈んでいく速度を調べるのが赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)或いは略して赤沈(せきちん)若しくは血沈(けっちん)というものです。初期段階での身体異常を発見するのに有効ですが、すぐさま疾患名を診断できるものではありません。スクリーニング検査としてよく採用されており、様々な疾患の具合や経過を判定するのに有用です。
当該検査は一時間の間に赤血球がどれだけ沈んでいるかを測定するものです。基準値は女性で一時間後2mmから15mmで、男性で1mmから10mmとなります。また、妊娠や生理などによってこの値は上昇します。更に加齢によっても上昇傾向を示します。高値を呈する場合、まず感染症が疑われますが、これは赤沈異常で非常に多い原因になっているためです。
血漿内に含有される蛋白成分と赤血球数によって値も変化しますが、軽く亢進している場合、貧血や肺結核の初期、気管支炎などが疑われます。中等度だと血友病や悪性腫瘍、肝硬変、肺結核、肺炎などが疑われます。高度な場合、白血病や腹膜炎、肋膜炎などが考えられます。反対に遅延を示す場合は、多血症が疑われます。ただ、体に特に異常が認められなくても亢進を示すこともあります。こういった場合は更に詳細な検査が推奨されます。