クレアチニン/Cr

体の中でエネルギーとして利用された蛋白質の老廃物がクレアチニン(Cr)で、これは尿酸や尿素窒素と同じです。筋肉運動の際にエネルギーとして大切な働きを持つクレアチンが分解された結果生じるもので、それが血液中に流入します。生成量は一定ですが、筋肉が多いほどこの物質も増加します。老廃物であるため、糸球体を有する腎臓にて濾過されます。その後、排泄されますが、これがうまく処理できず、血中濃度が上昇していると腎機能低下を招いていることになります。一日に排泄される量は800mgの人もいれば1400mgの人もいます。開きがあるのは筋肉量にほとんど比例するためで、個人差が出てきます。

基準値は女性で0.8mg以下、男性で1.0mg以下となります。ただ、肉食の量が多いと僅かに変化します。また、筋肉量の少ない女性の方が少し低く、五歳以下の子供や高齢者でも低値を呈します。その他、時間によって変動します。通常の食事で変動することはありません。これは運動も同じです。尚、子供でも五歳を超えると成人とほとんど同等の数値を示すようになります。

異常値を示す場合、高値では急性及び慢性腎炎、尿管閉塞、腎盂腎炎、心不全、腎不全、腎臓結石、前立腺肥大、脱水症や火傷由来の血液濃縮、尿管結腸吻合(にょうかんけっちょうふんごう)などが疑われます。低値の場合、妊娠、筋ジストロフィー、尿崩症が考えられます。基本的には高値を引き起こしている疾患を特定し、その治療を行います。人工透析による治療はクレアチニン値(SCr)がある範囲を逸脱した場合、視野に入ります。そのため、早急に対処することが重要であり、特に急性腎不全がこれに該当します。