窒素や尿素などを含有する尿中にはクロール及びナトリウムといった電解質も存在しているため、水より尿の比重は高くなります。体の中で必要なくなった物質や水分を処理する臓器が腎臓であり、これらのものを尿に変換して体外へ排泄しています。これによって体液に含まれる水分と成分をコントロールしています。尿比重(にょうひじゅう)は水分を長いこと摂取しなければ数値も高くなりますが、水分を大量に補給すると低下します。通常、1.005から1.035ぐらいが基準値とされていますが、この変動は健全であっても摂取した水の量などによって変化するためです。他にも利尿の働きをもつビールやコーヒーなどは尿量を増加させるため、尿比重を低くします。これに対し、汗を大量にかくことで尿量が減少し、結果として尿比重が高くなります。
測定には尿折計法、尿比重計、試験紙法があります。屈折計法は一滴の尿をプリズム面に滴下するもので、その際の屈折率をもって測定します。尿比重計は浮秤の目盛りにて数値を出すもので、尿に浮かべます。試験紙法は変色の程度で判断するもので、この試験紙は陽イオンを含む尿中にて反応します。そのため、この試験紙を尿に浸して判定します。
基準値より高い場合、糖尿病や心不全などの可能性があります。これは過度の尿濃縮が起こるためで、他にも脱水症状やネフローゼ症候群、腎不全由来の乏尿などが疑われます。一方、基準値より低い場合、尿崩症や慢性腎炎などが考えられます。これは腎臓における尿濃縮力低下に由来し、多量の尿が排泄されます。