血小板と共に血液凝固因子などがお互い働きかけながら出血を止めていますが、いずれの機能を失ってもこの過程はうまく行われません。また、血液凝固因子にはいくつかあり、その主軸となるのがプロトロンビンです。この物質は肝臓で生成されていますが、出血が起こるとトロンビンに変化します。フィブリンは水に溶け難い性質があり、これが血液を凝固させて止血する作用を担っています。血中には線維素(せんいそ)であるフィブリノーゲンが含有されていますが、実はトロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに変化させます。
当該検査は出血を招いてからプロトロンビンが肝臓において生成されるまでの時間を測定するもので、プロトロンビン時間若しくはPTと呼ばれています。また、試薬に血漿成分を入れて、水槽中において凝固するまでの時間も測定します。これを数回繰り返しますが、何度かやり直すのは、短い時間で測定するため、得られるデータに差を発生させてしまうからです。
正常とされるのは15秒未満であり、これを超えると肝疾患や胆道疾患、播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)、ビタミンK欠乏症などが疑われます。また、脳血栓や心臓弁膜症、心筋梗塞といった疾患で抗凝固剤を服用した場合なども高値を示します。尚、肝疾患では急性肝炎や肝硬変、劇症肝炎などがあげられます。また血液凝固因子が多量に消費されると播種性血管内凝固症候群を招きます。更に大量の抗生物質を利用した際や長期に渡る点滴の投与などがビタミンK不足を招きます。