硫酸亜鉛液を血清に添加した際、その混濁度合いがγ-グロブリンと呼ばれる血清蛋白と比例することを利用した検査が、硫酸亜鉛混濁試験若しくはZTTと呼ばれているものです。これに対しチモール混濁試験はTTTと略されている検査で、リポ蛋白と比例すると言われています。当該検査は昔から採用されている肝機能の検査であり、いくつかある膠質反応(こうしつはんのう)の内、ZTTとTTTが多く実施されます。
体液の浸透圧コントロールに血清蛋白は有用であり、その成分の内容を観察することで、診断の際の情報を得ることができます。当該検査は血清内に存在する蛋白質の性質を調べるものであり、試薬を血清に添加します。異常が発生した時であれば、混濁を生じて蛋白凝固が見られたり、沈殿物を認めます。アルブミン増加が見られると混濁や沈降は抑えられる傾向にあり、γ-グロブリンが増加すると沈降量も
増えていきます。
ZTTで異常値が見られた場合、肝癌、肝硬変、急性及び慢性肝炎などが疑われます。TTTが異常値を呈する場合、肝硬変や急性及び慢性肝炎の他、膠原病や脂質異常症も考えられます。ZTTでは顕著に高値を示した場合、肝硬変が考えられます。これに対し慢性肝炎では中等度に上昇します。TTTは高脂血症や脂肪肝を見つけるのに有用です。高脂血症は、脂肪が血中で増加する疾患であり、脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積する疾患です。異常と判断された場合、GOTやGPT、ALP、血清総蛋白分画<コレステロール値、γ-GTP、LDH、γ-グロブリンなどの検査も併せて実施され、肝疾患の存在が確認されます。またケースによってはこれら以外の検査も行われることがあります。