線維素溶解出血

症状

皮下出血、筋肉内出血、鼻出血、或は止血困難などを示します。これは先天性PAI-1欠乏症及び先天性α2PI欠乏症によるものですが、後天的なものでは皮膚紫斑などがt-PA多量投与によって引き起こされます。t-PAは血栓溶解療法で用いられるものであり、急性心筋梗塞などに利用され、その副作用として上記の症状を出現させます。また漏出性出血がカテーテル刺針部より出現し、止血困難を示します。更にt-PAが組織から多量に血中へ流入すると線溶系の活性化が触発され、似たような出血を招きます。これには前立腺といった手術後が該当します。

原因

血管外若しくは血管内での凝固によって招かれる線維素を溶かす症状を線維素溶解(せんいそようかい)と言います。線溶は止血を終えると止血栓を溶かして取り除き、血液の流れを保持する働きを有します。ところが十分に止血栓が作られていないのに線溶を生じたり、過剰な線溶を招くと線維素溶解出血(せんいそようかいしゅっけつ)の傾向を引き起こします。

治療法

トランサミンといった抗線溶薬は一次線溶亢進に適用されます。一方、DICに随伴する二次線溶亢進には抗凝固薬が組み合わせて用いられます。こちらは抗線溶薬の単独利用が行われず、併用という形をとります。尚、プラスミン-α2PI複合体の増加及び血清FDPの増加が線溶亢進で認められます。線溶が多量のt-PA投与によって過剰に生じた際、フィブリノーゲン分解から低フィブリノーゲン血症を発生させます。