症状
運動の際の狭心症や心不全などが出現します。これは心筋が肥大し、その血液量の供給が不十分となることに起因します。そのため、運動の際に息切れ及び疲労感といった症状や胸痛などを惹起します。これらは成人の重度の症例であり、症状が軽いケースではあまり自覚症状を示しませんが、進行すると眩暈や呼吸困難、疲労感などを示し出します。大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)では、長期に渡ってこれといった症状を示すことがないとされます。症状が重いケースでは、初期段階において疲労感や息切れを示します。呼吸困難や失神、狭心痛は末期に現れだす症状であり、こういった症状が示されると余命は数年とされます。いずれも心筋の肥大化に伴って血液供給量が不十分となることい起因します。
原因
三尖弁の石灰化や先天性に起因する二尖弁の石灰化、リウマチ熱などが直接的な原因となります。抗生物質の多用によりリウマチ熱に起因する大動脈弁狭窄症は減ってきています。また大動脈弁の開口部が狭窄することが原因となります。このため、心筋が血液不足を引き起こし、心筋そのものが損傷します。損傷した心筋は、血液をうまく全身に供給することができず、結果として心不全を惹起します。成人の内、若年層のケースでは、先天性の障害が原因となっています。乳幼児では、大動脈弁狭窄でも特に症状を示しませんが、年齢と共に障害を発生させます。
治療法
弁置換を実施するケースが多いとされます。手術は心機能や年齢層、症状の度合いによって適用するかどうか判断します。若年層においては弁切開術を実施することもありますが、狭窄が残存します。カテーテルの先にバルーンをつけて、それを静脈より心臓内部へ入れるバルーン弁形成術が弁置換の変わりになる外科的手術となります。大動脈弁狭窄症は、石灰化により悪化し、その多くは四十歳以上とされています。尚、心臓の肥大やその悪化が見られる場合は手術が推奨されます。心機能低下を引き起こし心不全が見られたケースで強心薬の投与が実施されることもありますが、その作用は望ましいものではないとされます。狭心痛や失神などが現れたケースでは弁置換を視野に入れます。弁置換後の見通しは良く、手術前の心機能低下も手術後には改善するケースが多いとされます。また、バルーン弁形成術と弁修復による弁形成術などもあり、これらは弁置換術の代わりとして効果のある方法ともされます。しかし、こういったカテーテルを用いた弁形成術は高い頻度で早くから再狭窄を引き起こすとも言われます。このため長い見通しでは改善の傾向は無く、弁置換術を実施するまでの一時的な処置でしかないとも言われます。